Biography

Trust Us以降現在まで。

ファンに熱狂的に受け入れられた『Trust Us』のリリース後、再びヨーロッパツアーを行い、『Trust Us』からのシングル2枚、『Ozone』『Hey Jane』も発売された。そのどちらにも4曲の未発表曲が入れられた。それらのシングルからの曲のいくつかはまた最近ライブで演奏されたりしている。また、この時のツアーはモービルスタジオによって録音され、のちに初のライブアルバム、『Roadwork Volume 1: Heavy Metall iz a pose, Hardt Rock iz a laifschteil』と して発売された。まったく彼ららしいこのサブタイトルは彼らの在り方そのものかもしれないし、単なるジョークなのかもしれない。でもこういうユーモアのセ ンスを彼らは常に持ち合わせているのだ。このライブアルバムは、彼らのライブをとてもよくとらえていると思う。もちろん、彼らのライブを何十回と見ている ファンにとってはベストなものじゃないかもしれないけれど、でも、彼らのライブを見たこともなかったわたしにとっては全く持って、やっぱりとんでもないバ ンドだ、絶対に彼らのライブをいつの日かは見てたい!と改めて決心させるに十二分なものであった。

1999 年3月、Motorpsychoは初めてアメリカでライブを行なった。有名な音楽コンベンション、South by Southwestに出演したのだ。好意的な評価を得て、Mans Ruinが彼らとコンタクトをとり、リリースが予定された。しかしこれはのちにMans RuinをKozikが手放したことにより、あえなくおじゃんになる。多くのヨーロッパのファンも期待していただけに非常に残念な結果だった。その後、ド イツのフェスティバルとデンマークのロスキレに出演し、彼らは次のアルバム製作に専念する。そのアルバムはこれまでのように、ラフなアイデアを持ってスタ ジオに入るという方法ではなく、細かいところまできっちりと用意されたのち録音に入ったものであった。これまでにそれほど大きくなかったストリングスアレ ンジやホーンアレンジも事前にきっちりと用意された。Tre Små Kinesereという長年やっているバンドのメンバーであるBaard Slagsvoldがこのアルバムから参加する。彼は高度な音楽教育を受けたジャズミュージシャンで、キーボードを中心に、ダブルベースも弾くし、唄も唄 える。彼は、ストリングスアレンジなどをすることで契約したようだけれど、それ以降、ライブにも彼が参加することとなる(しかし、彼の参加はまた、ファン をも困惑させるもので、以降現在まで、賛否両論が飛び交うことになる)。このアルバムはファンの間では発売前から大きな波紋を呼び、実際に発売された 『Let Them Eat Cake』は賛否両論があまりにも激しく、大方はがっかりした、という意見であった。これまでの彼らのハードな面が鳴りをひそめ、ジャズを取り入れた感覚 や、ソフトなものが多く、Motorpsychoのハードな部分に魅力を感じるファンは非常に困惑していた。しかし、これがMotorpsychoなの だ。同じことを何回も繰り返すバンドじゃない。最初はびっくりしたけれど、聞き返すと素敵な曲がたくさんあるし、ライブでもよく演奏される曲もある。しか し、このアルバムからライブは凄いのに、アルバムはなんでああなんだ?という一種のトラウマ的なものがコアなファンの間には根強くあるのも事実だ。また、 他の面からみると、このアルバムはMotorpsychoの最も成功したアルバムで、発売第1週目にしてノルウェーのチャートNo.1になり、シングル『The Other Fool』もチャートの1位になった。

次に発売されたのは、シングル『Walkin’ With J』、そしてファン待望のRoardworksシリーズの第2弾、『Roadworks vol 2, The MotorSource Massacre』で あった。これは彼らがThe Sourceというノルウェーの前衛ジャズバンドとジャズフェスティバルで共演したもので、当時はDeathprod.ことHelge Stenも参加していて、非常に混沌としたサウンドスケープが展開されるというとんでもない代物であった。このライブを実際に見た人によると、あまりの音 の大きさに耳がおかしくなるんじゃないかと思った!というほど強烈なライブだったのだそうだ。とんでもないでかい音なのに、Helgeがとんでもないテル ミンのサウンドを出しまくってて凄かったと教えてくれた。Motorpsychoというバンドはつくづく、なんでもありなのだと、そして彼らのライブとい うのは本当に特別なのだと知らしめる1枚でもあった。

そして、あのMans RuinsとStickmanから共同リリースされるはずだった幻のシングル(あくまでシングル!)が陽の目をみることとなった。これはファンがとにかく 待ち望んでいたものであったし、期待も大きかった。なにしろ、MPのハードな側面が出ているということで。リリースされたのは『Barracuda EP』。ポップな曲も多いけれど、でもこれがMP!と久々にみんなが喜んだリリースであった。やっぱりかっこいい!の一言。クールなリリースだった。

さらにファンの論議を呼ぶアルバム、『Phanerothyme』が2001 年に続いてリリースされた。あまりにもポップで、なんでMPが…!と愕然としたファンも多かった。しかし、これはある意味傑作だと思う。彼らの曲作りのう まさがさらによくわかるアルバムだとわたしは思った。確かにポップすぎて、現在ではライブでやらないものも多いのだけれど、それでもこの素敵なポップなア ルバムはやはり、聞き込めば聞き込むほど、なんかとらえられるものがあると思う。そんな不思議な味のあるアルバムなのである。余談だけれど、この後いても たってもいられずとうとうMPを見に行った。Stickman Festivalがハンブルグで行なわれたのだ。Stickman Recordsオールスターズ!というめちゃくちゃ豪華な(と思うのはわたしだけ?)ライブのついでにノルウェーまでMPを見にいった。そして、これはと んでもない、今まで見にいかなかったのは本当にバカだった!とめちゃくちゃ後悔することにもなった。そして、この時のツアーのノルウェー国内のいつくかの 場所ではJaga Jazzistのホーンセクションが参加していて、幸いにもその2回が見れたのだけれど、ホーン入りのMPってのも凄いや、とほれぼれした。Jaga Jazzistの凄さをもかいま見ることとなった。Super Stoogeのコラボレーションなど、ホーンセクションの迫力もものすごくて、圧倒されるくらいかっこよかった。実はこのMP with Jagaという組み合わせ、これも未だにファンの間では賛否両論。MPファンはこだわりが大きいのかもしれない。

また、スウェーデンの今では全世界的に知られているThe Soundtrack Of Our Livesとのスプリットシングルが スペインのレーベルより発売された。TSOOLとMPのかかわりは、StickmanがTSOOLのヨーロッパでのレコード(のみ)販売を手掛けたことに よる。しかし、以前からBentなどはファンでもあったようで、Stickman Festivalとそれに続くいくつかのライブで共演し、意気投合。お互いに双方のバンドをいたく気に入っているようである。

MPのおおよそのサイクルである、秋にニューアルバム、そしてツアーというのは2002年も繰り返された。先に先行シングル、『Serpentine ep』が リリースされ、Snahの唄う傑作シングル曲として評価は非常に高いものであった。そしてこのシングルには、以前からライブでやっているのに、ちゃんとし た録音マテリアルとして発表されていなかった『Fade To Gray』及び、『Snafu』が収録されていた。これらの曲はアルバムに入るのではないかと多くのファンが思っていたものだが、シングルに収録された。 この二つの曲は傑作だと思う。さらに、GebがMartin Hagforsと作った素敵な曲、『Littele Ricky Messenbrug』が入っていて、シングルとしてははずせない1枚となっている。

そして発売された『It’s A Love Cult』。 またしてもあまりにも彼ららしいタイトル、そしてKim Hiorthøyによる印象的なアルバムジャケットと、またここ2枚の彼らからちょっと変わったのかな?と思わせるアルバムになっていた。私自身、好きな アルバムだけれど、これが一番いいアルバムとは思えない。けれど、でも何度も聞き返してしまうアルバムであり、彼らの根底にあるものがなんら変わっていな いということを確信したアルバムでもあるのだ。

このアルバムでとうとう2002年、日本盤も発売された。10 数年願い続けてきたことがやっと現実のこととなったのだ。P-Vineがなぜ決断してくれたのかはわからないけれど、でもこの、日本でぱ〜っと広まるなん てのはちょっと考えにくいかもしれないアルバムをピックアップしてくれたというのは驚きでもあり、非常に嬉しいことであった。

こ のアルバムに伴うツアーはのっけのノルウェー国内からとんでもなく素晴しいもので、ほぼ全ヨーロッパを見て回ったファンですら、最初の方のノルウェーのい くつかのライブはめちゃくちゃ良かったと後日話していた。また、MPのポップな時期は終わった、なんていうGebの発言があったり、またまた今後、どう いった展開をみせるのか、期待してしまうところ。

そうこうしているうちに、うわさにあがっていた『Tussler』が再々発さ れた。このアルバムの経緯を書いておくと、まずさいしょにdButというレーベルから限定でCDが1994年に発売され、1996年にStickmanよ りボーナストラックを追加した10インチ2枚組のレコードで再発された。そして2003年、こんどはさらに5曲のボーナストラックを追加した形で Stickmanよりリリースされたのだ。このリリースでは、詳細な解説もついたブックレットも追加されており、ファンなら必携の1枚。

そして、この夏のこれまたいくつか場所では3時間半も演奏しているTusslerツアーをはさみ、次は何がやってくるのか?ライブは依然として文句なし!な彼らが、再びアルバムでどういった表情をみせるのか。10数年たってもなお、彼らに対する興味はつきないのである。

text by akane, 12.september 2003