Biography

Motorpsychoはノルウェーの中部にある第3の都市トロンハイムのバンド。1989年10月にBentSnahがKillerというドラマーとともに始めたバンドである。

彼等は学校に通うため、トロンハイムに出てきたのだ。
(だから、ツアーはSnahの出身地からいつも始めているということである←注:これは以前の話。現在は違います)

とにかく、どうやら、最初は御多分にもれず、ヘヴィメタルなどから入ったようだが、彼等のその幅の広すぎる音楽の趣味と音楽に賭けるエネルギーは留まるところを知らず、出すアルバムごとに、常に変化と違った面をみせてくれる、非常に興味深いバンドなのだ。

最初はその二人に加え、Killerというドラマーがいたのだが、彼は最初のデモテープとファーストアルバムに参加したのちバンドを離れる。意見や考え方の違いが問題だったようだ。その後、これは本当に彼等にとっては素晴らしいことだったと思うのだが、Gebhardtと いうドラマーが加入する。Snahの高校時代の友人で、スラッシュメタルとカントリーが好き(って入った当時は云われていた)というこれまた、ちょっとか わった趣味を持ったドラマーなのだが、どうしてもMPに必要だという説得により加入する。より、彼等の音楽はさらに様々な表現力を持つこととなる。

3 人が3人とも曲がかけ、それぞれ全く違った傾向をしているだけに、ひとつのジャンルには決しておさまりきれないものを作り出しているし、ロックファン、 ポップファンのみならず、ノイズが好きな人たちにも受け入れられている。さらには、カントリーでさえ、完璧にやってのけ、評価を得ている。またジャズフェ スティバルに彼等を出そう!とまで言い出すファンもいるくらいである。ちなみに、彼等はSan Raの大ファンでもある。

デ モテープを作り、それを聞いたVOICES OF WONDERというオスロのレーベルが彼等のファーストアルバムをリリースすることとなる。なぜ、そのレーベルを選んだかと聞いたことがあるのだが、とに かく、ノルウェーで唯一まともに機能しているインディペンデントレーベルだったし、デモテープを聞いて気に入ったから、ということだった。おそらく、選択 支は他になかったのだろう。彼等の地元にPROGRESS RECORDSというレーベルもあるのだが、そことは契約しなかった。

そのファーストアルバム『LOBOTOMIZER』を ひょんなことから手にしたわたしは、それがMOTORPSYCHOとの付き合いの始まりだった。最初はう〜ん、ノルウェーにも変なバンドがいるんだなって 感じで、悪くはないけれど、素晴らしいとも言えないという感想だった。なにしろ、やたらヘヴィでサイケな曲があるかと思えば、ポップな素敵な曲も入ってい るという具合で、いったい何が彼等の本当にやりたいことなんだろう???という感じがしたのだ。録音状態もあまりよくなかったし、ボーカルもあんましうま くなかった。一体どう云うバンドなんだろう?というのが大きな疑問だった。

そして、次のアルバム、アルバムというか、ミニアルバムかな、がリリースされ、迷ったものの、やっぱり買ってみようと思って手にした。これが運のつきだった。たった1枚の違いなのに、なんでこんなふうになるんだぁ!と驚くばかりの素晴らしいものを送りだしてきたのだ。『SOOTHE』と いうアルバムである。このアルバム関係では、3種類のリリースがあり、12インチアルバム(片面33回転、片面45回転の変則)、7インチシングル、CD とあり、入っている曲が少し違っていたりする。とにかく、素晴らしいリリースであった。これ以降は、彼等の何かをみつけたら、迷うことなく手にすることと なった。

そして、次にリリースされたのが、『DEMON BOX』と いう2枚組の大作である。前リリースでもびっくりしたものだったが、このアルバムはさらにぶっとぶような出来であった。コンセプトアルバムとでもいうか、 曲がつながっていたりして、一気に聞かないと気がすまない、そんなアルバムで、その時点での彼等のある意味ではかなりの部分が詰め込まれているものだと言 えるだろう。ちなみに、CDは曲がはしょられて1枚になっているので、レコードのほうが絶対にお勧めだ。このアルバムには未だに名曲と呼べる、ファンなら 誰でも知ってる曲がたくさんあって、彼等の力を本当の意味で最初に見せつけてくれたアルバムである。ヘヴィな曲やトリップしそうな曲から、落ち着いて聞け る曲、なんだか胸を締め付けられるような曲、ポップでなんだかテーマソングみたいな曲(同じ曲のタイトル・アレンジ違いが入っていたりもする)と1曲1曲 をとってみれば、バラバラかもしれないけれど、それが見事につながっているのだ。レコードじゃどうしてもひっくり返したりしないといけないから、テープ (100分は必要)に入れて、あきずに聞きっぱなしていたものだ。なお、このアルバムから、これまた、素晴らしい才能の持ち主でノイズメーカーの Deathprod.(Helge Sten) が参加している。ノルウェー王立音楽アカデミーの生徒である彼は、「彫刻のような音楽が好き」という人物。次にあげるミニアルバムを以て、学業を優先させ るために、バンドの一員としての活動は辞めているが、以降もプロデュースなどで常にMPを支えている。ちなみに、彼自身のアルバムも何枚かリリースされて いるし、MPのサポートとして、あるいは関係なく、ライブも行っているようだ。彼のアルバムは「エクスペリメンタル・アンビエント」とSnahは説明して いたが、これもとても良いアルバムだ。1枚にはSnahがヴァイオリンで参加している。

次のフルアルバムを出すまでに、彼等は、これも忘れがたい、ミニアルバムを2枚リリースする。『MOUNTAIN ep』『ANOTHER UGLY ep』。 このあたりから、彼等の音楽的な様々な試みがより幅広く展開されてゆくこととなる。そういった意味では、ミニアルバムという形ではあったが、彼等を知るう えで、とても重要なリリースだったと言えよう。個人的にも『ANOTHER UGLY』はタイトル曲ともども最も気に入っている1枚である。

こ の間、彼等とVOWとの問題が大きくなってきたようだ。そして、彼等が選んだのは、自分達自身でバンドをコントロールすること、であった。わたしは当時、 ただ単に、メジャーに移ったのかと思っていたが、そう単純なことではなかったらしい。ドイツを拠点とするSTICKMAN RECORDSはMotorpsychoをリリースするために(BentはMotorpsychoゴスペルを銀河中に広めるためと記している)設立され た。と云ってよいであろう、Bentはそう書いている。彼等は、田舎出身のうぶなただ単なる音楽ばかではないってことだ。余計なことだが、過去、たくさん の大好きなバンドがミュージックビジネスに屈して去っていったのを見てきた。本当に、いまだに聞いてるバンドだって、いまじゃ、彼等の新しい曲を聞くこと も、ライブを見ることもできないのだ。MPにだけは、そんなことになって欲しくないのだ!そこまで彼等自身がやろうとするのは、彼等自身の音楽を本当に大 切に思っているからだと思う。そして、それを実行に移した彼等は、懸命な選択をしたと思える。もちろん、それは本当に彼等とともに物事をすすめてくれる人 達がいるからこそである。STICKMAN RECORDSの中心の二人は本当に、素敵な人達のようだ。MLにときおり投稿されているものを読んでいると、いかにMPを、音楽そのものを愛しているか がよくわかる。ファンとしては、これほど安心することはない。まぁ、流通って問題においては、日本はまだまだだし、おいそれとどこででも手に入るってわけ にはまだまだなので、そのへんは問題だと思うけれど、なにはともあれ、MPをゴミのように扱うようなそんなところに彼等はいやしないってことだ。

そして次にやってきたのが、いまだにベストアルバムに挙げるファンもかなりいる『TIMOTHY’S MONSTER』。 あまりにも印象的なジャケットともども、ここまでやるかぁ〜というリリース形態であった。なにしろ、またしても2枚組CDであったが、限定でLP3枚組の ボックスセットまでリリースされていた。ポスターがついていて、3枚目の片面はエッチングで絵柄が入っているという代物であった。それはともかく、ポップ で、素敵な曲が並んでいるこのアルバムは、おそらく、一般の人でも喜んで聴けたと思うし、このアルバムからノルウェーではメジャーに移ったこともあり、こ のへんから彼等の人気はブレイクし始める。このあたりからファンになったという人がノルウェーでも多いみたいだから、やはり、インディーは弱いというのは 本当みたいだ。ともかく、このアルバムはとても素敵、というこのこの一言につきる。肩ひじ張ることもなく、リラックスして聴ける。いつものように、様々な 曲がつまっているのだが、ヘヴィな面が少し押さえられているせいか、全体的に明るい感じで、一瞬、う〜ん、メジャーにいったからかなぁとも思ったりしたけ ど、彼等にそんなことは全く関係ないのである。その時のベストを選んで持ってくるのである(何しろ、常にアレンジし、録音したりしてるので、1つの曲にい くつものアレンジがあって、その中の最も良いものを選ぶと云っている。1枚のアルバムの為に録音すると、没が20から30はあると云われている)。名曲が たくさんつまっているこのアルバムは、ファンにとっては常時そばに置いておきたい1枚であろう(大体、このバンドにはまると、全部欲しくなっちゃうもんだ けど)。

1995年、彼等は1年間のオフをとる。しかし、その間にその前の年に出た『TUSSLER』と いうカントリーソングばかりのアルバム(ウエスタンムービーのサウンドトラックらしい)のサポートのため、いくつかのフェスティバルで演奏したりしてい た。このアルバムは、スカンジナビアの最優秀カントリーアルバムに選ばれ、彼等は北欧最大のカントリー・アンド・ウエスタンショーにまで招かれたのであっ た。やっぱしふつうじゃない。このアルバムは、とても面白いものだし、色々なカバーソングや彼等のオリジナルカントリーソングのみならず、彼等の過去の曲 を見事にカントリーにしたてあげてしまっているのだ。たまげたのなんの。とても面白いアルバムである。最初はCDのみでリリースされたのだが、のちに、 STICKMANから2枚組10インチLPとして再発され、こちらには、さらにNeil Youngのカバーなどの曲が追加されている。また、この年の夏、他にも、Roskilde、Dinamo Open Air、さらにはジャズフェスティバルにも出演し、インプロビゼーションを主体とした演奏を聞かせたそうだ。(メタルからカントリーそしてジャズまで。一 体他のどのバンドがこんなことをやってのけるというのだろう?)

そして、『BLIZZARD』が1996年に、『ANGELS AND DAEMONS AT PLAY 』が1997 年に発売された。この2つのアルバムは、『TIMOTHY』に比べると、もっとインディーよりの曲が並んでいた。おや?と思った人も多いかもしれない。な んだかやたら落ち着いた感じがするというか。しかしなお、彼等の曲は違った意味でとても印象に残るものだったし、さらに奥深い世界へと踏み込んで入ったよ うにも思える。この頃になると、ミニアルバムでGebの作る哀愁を帯びた映画のサントラのような小品も入るようになり、それぞれがさらに好きなようにやり つつ、それをひとつにまとめあげてゆくという手法もみられるようになった。『ANGELS AND DAEMONS AT PLAY 』の3枚組CDボックスセットでは、もっとエクスペリメンタルな曲も披露され、一体彼等はどこに向かっているんだろう?と思わせたものだった。

そして、再び、2枚組の『TRUST US』が 発売された。またしても、彼等は新たな試みをしている。サンプリングを取り入れた曲もあれば、死ぬほどせつなくなるような曲もあるのだが、何をしようと も、MOTORPSYCHはMOTORPSYCHOなのだ。このアルバムタイトルを初めて知ったときは、顔がにやけてしかたなかった。らしいなぁ、という か。きっといろんな意味があるんだろうけれど、めちゃくちゃ頼もしいと思った。そう、そういうバンドなのだ。何をしようとも、裏切られることはないのだ。 永年聞いてきている人達はみんなそう思っているんじゃないのかな。あまりにもたくさんの音楽を聞いてきたけれど、このバンドだけは、何年たってもこちらの 期待を裏切ることはない。こんなしょーもないもん出して!とか、そういったことが一切なかったし、それどころか、意表をつくようなことばっかりやってくれ るので、もう、ついてきます、としかいいようがないのである。

今年(99年)に入っ て、とうとうライブアルバムがリリースされた。ライブをみたこともないので(ビデオのみ)ファンが待ち焦がれてたっていうその気持ちにはちょっと足りな かったけど、なにはともあれ、彼等のライブがどれだけめちゃか知っているので、やはり聞かなきゃいかんだろう。1曲が20〜30分ってこともざらだし、今 年のツアーでは1曲50分ってこともあったという。とにかく、こちらが思う以上に物凄いバンドなのである。日本で彼等を見ることが出来る日はいつやってく るのだろうか。まぁ、うわさによると、う〜ん、全くないってことも将来的にはないのかも???という感じだが、あくまでもうわさだし、何も決まってはいな い。彼等自身も日本に来たがっていることだし、いつの日か、この目でじっくりと確かめたいと思う。

今年は何もリリースしないと云われていたが、秋にはニューアルバムのリリースが決定している。

MOTORPSYCHOというバンドは既成概念を常にぶちこわしつつ、全くふつうの音楽ファンにも受け入れられるものを保ち続けている、本当に稀なバンドなのである。

text by akane, 06211999