Child Of The Future – review

やっと聞ける状態になって聞き倒しているので、まじめに感想など…。

このバンド結成20周年にあたる2009年のリリースは、昨年夏にシカゴのSteve Albiniのスタジオで彼により録音されたもので、前々からバンド自身も満足しているような発言があったり、聞いた関係者の人に凄くいいんだ、というのは聞いていた。しかし、その内容や全貌は全く漏れてくることはなく、マイペースなバンドらしく、1年経ってやっと発売されることとなった。それも、バンド自身の決断として、レコードのみ、LPのみでの発売で、これがオフィシャルにデジタル音源としてリリースされることはない。ということは、おそらくは日本でも発売されないだろうと思う。これについては本国やフォーラムでもさんざんけんけんがくがく意見が飛び交っていたけれど、バンドが決めたことであるし、ファンが何を言っても意に介さない(というより気にもしていない…)彼ららしい選択なのだと思う。

しかし、1曲目から顔がにやけてしまうことは確実である。予想を遥かに上回る、彼ららしい、らしすぎるけれど、「想像以上のもの」である、というのは長年のファンも少なからず思ったのではないだろうか。私自身がまさにそうである。前作は素晴らしかったけれど、より「このバンド」をスタジオ録音の中で、それもえんえんと続くジャムとかいうのではなく、1曲の中で表現できているのではないかと思う。それと…やはりSteve Albiniの手による録音というのも大きいかもしれない。音のバランスというか全体のサウンドのまとまりが非常に良いと思う。

Side : A

The Ozzylot (Hidden In A Girl)

非常にポップなメロディを持つ、聞いていてわくわくする1曲目で幕を開ける。このバンドがただヘヴィなだけではなく、単にポップなだけではなく、こんなにかっこ良いのにスウィートな曲をやれるバンドなのだ、というまさにそういう曲。Tusslerで見せてくれた雰囲気の曲をよりポップにした感じとでも言おうか、そのあたりの影響もうかがわせるのだけれど、非常に自然で、思わず乗ってしまう軽快なリフとリズムによって、あっという間に曲が終わってしまうと感じるほど。展開部もおもわずにやけてしまう、彼ららしいクセのある部分。この1曲だけでも十分に今のMotorpsychoがどんな状態なのかわかるだろう。前向きで明るい曲は心を軽くしてくれる。

Riding The Tiger

次の曲は、彼らのライブを見たことがあるならわかるのだろうと思うのだけれど、ステージ上で繰り広げられるジャムパートを彷彿させるサイケデリックな雰囲気をまとったヘヴィだけれどこの曲も暗くはなく、軽快なリズムで進んでゆく。ライブでみたらさぞ気持ちいいだろうな〜というグルーブ感もその広がりも楽しい1曲。

Whole Lotta Diana

これはMPらいしいヘヴィな1曲。Motorpsycho流ヘヴィなハードロックと言うか、こういうのが彼らがももともとやってきたところの根っこの部分に確実にあるわけだけれど、今のラインアップになるまで長年聞くことの出来なかったタイプの曲と言ってもいいだろう。素晴らしいドラマーを迎えたというのは非常に大きいというのもよくわかる1曲で、ギターソロパートのドラミングはなぜこれが可能であるか、というのをよく表していると思う。ソロパートからの流れはライブではおなじみの感じで、ライブ会場にいるのかと思うくらい。ただ、ライブではこれがさらにどこかへ飛んでいったりもするのだけど、このバンドが一体どういうことをやってるバンドなのか、というある一面を確実に伝える1曲にもなっている。ライブが見たくなる…やばい曲でもある。

Side : B

Cornucopia (…Or Satan, Uh… Something)

静かなパートで始まり、Bent得意のグラインドグルーブベースリフでぐいぐいと引っ張っていきつつ、それにのるヴォーカルはそのうえにほんわりのっているようなミスマッチ的な感じが面白い。日本で発売されたアルバムだけではわからないと思うけど、こういった曲や感じはライブを見ている人なら全く違和感はなくて、レコードでこれをやっちまったか…!みたいなそんなところが多くみられる曲で、そういった意味では逆に興味深い。これが出来るようになったんだなぁと。それは、このバンドがずっとかかえていた問題、ライブとスタジオ録音のギャップというものをクリアしつつあるということだろう。

Mr. Victim

続く曲は最もヘヴィでファストなナンバー。今までとはちょっと違う雰囲気の曲で、これはおそらく…Kennethが加入したことによって可能になった曲だと思う。新たな1面が見える。ただ、すんなりとはいかないのがこのバンドで、途中のアクセント的なパートやその後のそこからの展開が単純にこういう曲をやるだけじゃないヒネくれた部分を見せていたりするのかな…などと思ったり。個人的にはこのアルバムのなかで一番驚いた曲。それは、ここ数年の彼らが決して発表することのなかったような曲だから。

The Waiting Game

おそらくこの曲はアルバムリリース前に触れられていたように、家で録音されたものであろう。ドリーミーで少しサイケデリックな、時折こういった曲をやってはきていたし、以前にこんな曲があったような…とも思うけど、ヘヴィな曲のあとにこれがくるとやはり耳を引くわけで、これはもちろん狙っているところでもあるだろうと思うけど。

Child Of The Future

アルバムタイトルナンバー。めずらしくミッドテンポで、このバンドにしてはかなりめずらしい曲…と初めて聞いたとき思った。なんだろうな、最近あまり聞かないようなテンポのロックナンバー。歌のメロディなどはあぁ、彼らだなというものではあるのだけど、要するに、何かがやはり確実に変わってるんだ、と感じさせるということで、この非常に前向きな広がりをみせる曲は、決して放り出すことなく20年も続いてきたバンドがまだ前を向いているんだなぁということを思わせるのだ。それと同時に彼らが、彼ら自身の原点をまた確実に取り戻しつつ、さらに発展させていってるということをも感じさせる。Snahのギターソロパートがいい1例かな…。そして潔い終わり方。自分としてはとても意外な曲がアルバムの最後に入っていた。

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